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北海道がロシア領になってもおかしくなかった!?

ソ連(ソビエト連邦)崩壊から30年余り、今の若い人には「ソ連」と言ってもなじみがないかもしれません。しかし、終戦間際に宣戦布告をして北方領土を占拠し続けています。ところが、北方領土どころか北海道まで占領されていたかもしれなかったということを知っていますか。

占守島の戦い

終戦の1945年8月15日を過ぎても戦闘が行われていたところがあったのです。その戦場はカムチャツカ半島のすぐ南にある占守島(しゅむしゅとう)です。

赤いところが占守島の場所

ソ連軍がこの島に上陸を始めたのは、8月18日未明。この時、軍司令官として自衛のために戦闘指令を出したのが、樋口季一郎。すでに終戦になった中、このように素早く判断するのは簡単なことではなかったはずです。この占守島の戦いは日ソ双方で多くの被害者を出す激しいものでしたが、ここで食い止めていなかったら北海道はソ連(現ロシア)領土になっていたかもしれません。この時活躍したのが戦車第11連隊で、連隊長先頭に戦車部隊で総攻撃をかけ、進軍するソ連軍を押し戻しました。陣頭指揮をとった連隊長をはじめ多くの戦死者を出しましたが、ソ連軍の上陸を阻むことができました。いまでも北海道に配備されている陸上自衛隊の戦車大隊は、第11戦車隊としてその名を引き継いで、「士魂戦車大隊」(十一を組み合わせて士)と称しています。

樋口季一郎

ところであまり知られていませんが、このときの軍司令官樋口季一郎中将はとても興味深い人です。

樋口中将

 

1888年生‐1970年没(享年82歳)日本の陸軍軍人。最終階級は陸軍中将。兵庫県淡路島出身。歩兵第41連隊長、第3師団参謀長、ハルピン特務機関長、第9師団長等を経て、第5方面軍司令官兼北部軍管区司令官。(引用:Wikipedia日本語版)

 

樋口中将を語る上で「占守島の戦い」に加え、欠かせないのが「オトポール事件」です。

オトポール事件

これは第二次世界大戦前夜にドイツの迫害を逃れようとしたユダヤ人が、ソ連と旧満洲国の国境沿いのシベリア鉄道・オトポール駅で足止めをくっていたところ、樋口中将が南満洲鉄道(満鉄)と直談判して上海に脱出させました。ユダヤ人達は上海からアメリカへ亡命したわけですが、この満洲国を通過する脱出路は「ヒグチ・ルート」と呼ばれ、約2万人のユダヤ人が救われたそうです。「東洋のシンドラー」として有名な杉原千畝が命のビザを発行する2年前のことです。

ヒグチ・ルート

当時、日独伊三国同盟の中で、同盟国ドイツを忖度して通過させなかった満洲国外交部に対して、人道主義を貫いた樋口中将。「占守島の戦い」でのソ連の侵攻に対しての、毅然とした判断を見ても、筋の通った合理的なリーダー像が思い起こされますね。

戦後

しかし、戦後極東国際軍事裁判においてソ連のスターリンは、樋口中将を「戦犯」として身柄を引き渡すよう申し入れがあったそうですが、連合国軍最高司令官総司令部(GHQ)のマッカーサーは拒否したようです。この背景には世界ユダヤ協会が反対したという説や、ポーランドに武官として駐在時に親交のあったイギリスの陸軍参謀総長がマッカーサーに圧力をかけたという説もありますが、いろいろルートで救済運動があったということでしょう。

軍人であったためか、なかなか注目を浴びる存在でなかった樋口中将ですが、近年再評価されています。2020年には北海道石狩市の樋口季一郎記念館が開館。また2021年には樋口季一郎中将顕彰会も設立され、生まれ故郷の淡路島と北海道に銅像を建立する計画もあるようです。

まとめ

ここでは詳しく触れていなかったのですが、なぜ樋口中将がこのような大きな出来事に対して的確な判断を下せたか。大きな要因として、情報畑出身で優秀なインテリジェンスオフィサー(情報将校)だったからではないでしょうか。実際に、ロシアのウラジオストク、ハバロフスクや満州国(現在は中国東北地方)のハルビン、ポーランドのワルシャワで諜報活動に携わり、ポーランドでは暗号協力により日本の「暗号力」を格段に向上させたようです。やはり日本国内だけの情報では正しい判断が下せないということですね。HonestJapanも引き続き世界標準のインテリジェンスを提供していきます。

それではまた。

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