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【前編】生保会社の予定利率引き下げはどのように影響する?

みなさん、こんにちは。

私たちが普段から何気なく接している「生命保険」ですが、近年の金融事情から、大手の保険会社でも予定利率が引き下げられています。

予定利率とは契約者が保険を掛けている中で「利回り」や「保険料」に大きく影響する要素の1つです。中でも貯蓄性のある保険商品には影響が多いことで知られています。

しかし、実際に「予定利率の引き下げ」が、個人単位でどのような影響があるかを説明してくれる保険会社の担当者は少ないのが実態です。そこで、今回は生命保険会社による予定利率の概要や引き下げによって影響を受けやすい保険種目などをわかりやすくお伝えしていきます。

ちなみに私は友人から保険担当者を紹介され、言われるがまま貯金だと思って毎月4万くらいの保険を26歳から加入していました。今思うとただただ後悔です。

予定利率の大まかな仕組みを知る

生命保険商品などに関係する「予定利率」とは、積立保険や個人年金保険などで、契約者である私たちに還付される金額を担保する数値の1つです。

 この仕組みを簡単に言うと・・・

予定利率が3%であれば積立金額に加えて3%の利息がつきますし、予定利率が1%であれば、積立金額に対して1%の利息になります。

 一般的に保険商品では「目標金額に対して積立していくもの」が多いため、100万円が目標満期額だとした場合、予定利率が高ければ高いほど「一ヶ月に負担する金額」が下がるのです。

 例:10年運用かつ満期金額100万円の場合

  • 予定利率1%=月々の積立金額は8,100円
  • 予定利率2%=月々の積立金額は7,800円

万が一、途中解約になった場合でも、予定利率の高い契約の方が払い戻しを受けられる金額は大きくなります。

予定利率を決める指針

保険会社による予定利率の決定は、主に以下の項目から判断されています。

  • 各保険会社の事業成績(営業判断)
  • 国が定める国債の「標準利率」

このうち金融庁の管理下にある「国債」は、保険会社が預かったお金を運用しているメインの投資先です。つまり、保険会社の事業成績などにも深く関わる部分なのです。

 予定利率が引き下げられれば、個人はもちろん、企業などにも影響が広がっていきます。

予定利率の低下に影響を受けやすい保険

生命保険会社の商品には「掛け捨て保険」と呼ばれるものから、貯蓄性のある商品など、様々な種類があります。

 この中でも、終身死亡保険、学資保険、個人年金保険などは「予定利率」を元にしてお金が増える割合が決められるため、特に大きな影響があるのです。

最悪の場合は「元本割れ」を引き起こす可能性も

貯蓄性の高い保険は、保険会社がいかに高い予定利率を保てるかどうかで契約者が得られる恩恵(払い戻し金や満期時の受け取れる金額)も決まります。

 しかし、予定利率が下がってしまった場合には最悪の場合は元本割れが起きる可能性も0ではありません。

 終身死亡保険(終身生命保険)などは、元本割れをしないと思っている方も多い商品ですが、実際には元本割れの可能性は存在しています。

予定利率が引き下げられた背景

日本経済新聞によると、最大手の生命保険会社である「日本生命」は企業向けの年金保険の予定利率を2023年の4月より、現在の1.25%から0.5%へ引き下げることを発表しています。

ここに深く関わっているのが、国債利回りの低下と「標準利率」の低さです。1999年、国債の標準利率は「2%」でしたが、2020年1月には過去最低である「0%」になりました。

 多くの保険会社が利回りを生み出している国債の利回りが下がるということは

 「保険会社が預かったお金が増えない」⇒「予定利率への利回りが追いつかない」⇒「予定利率を引き下げる」という流れが出来上がるのです。

単純に保険会社の業績が下がったというだけの話ではない

予定利率の引き下げ発表は、深い部分まで情報を知らなければ、単に保険会社の負担が大きくなったり、企業業績悪化のように見えます。

そもそも、大手保険会社が運用先としている「国債」にも繋がる問題であるということを知れば、大きな流れとしては”国全体の問題”であると言っても過言ではありません。

まとめ 今後は保険会社の勧誘にも注意が必要である

保険の勧誘の多くは営業マンの成績に繋がるものですから、元本割れ等のリスクよりもメリットを多く並べがちです。

しかし、保険業界全体を見れば、今後も国債に左右されながら予定利率が変わる可能性のある保険会社に全てを任せるにはリスクも考える必要があります。

 次回は今後考えられる保険会社の予定利率の引き下げに対する対策などについてもご紹介します。

 それではまた。

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